「病は気から」という言葉と同時に、「肝腎(肝心)」という言葉がある。これはつまり、肝臓と腎臓が悪くなると心が乱れ、様々な病にかかりやすくなるということ。それは心にも身体にも出る。
僕は統合失調症という精神病を抱えている。幼い頃から粗悪な食事を続け、更にスポーツによる過度な運動が長期間にわたったことが主な原因だろう。毒素が多く栄養が少ない食事、過度な疲労、身体を大きくするための過度な(偏った)栄養摂取。そのどれもが肝臓と腎臓に負担をかける。
病気以外に学生時代からのイライラしやすい性格が数年前まで続いていたが、最近、全くイライラしない自分の変化に気がついた。統合失調症に関しても症状は無くなり、薬の副作用もカフェインとの相性が悪い以外は何も感じない。
数年前にイライラの原因は肝腎の弱りになることを知って、元々強かった健康意識は更に本格的になっていった。それが功を奏して、今ではとても穏やで軽く、豊かな精神状態を維持できている。
肝臓と腎臓の弱りは心身の機能低下を招く
肝臓と腎臓が弱っていると、体内に溜まった毒が回り、むくみ、だるさ、ムカつき、息切れ、かゆみ、食欲低下、視力低下、動悸、血圧上昇、貧血、イライラなど、様々な症状が間接的に現れやすくなる。(今から6年ほど前、仕事中に貧血を起こして眼の前が真っ暗になり、後ろにぶっ倒れた事がある。)
イライラはこの内の一つの症状でしか無いが、そこからの二次作用が大きいからバカに出来ない。イライラしていると、身体は自ら毒素を作り出すようになっているからだ。精神の乱れは腸内環境の乱れも引き起こすし、そこから栄養状態が悪化したり、体内毒素の排泄がうまく行かなくなったりする。
だから、肝腎を整えることがまさに肝心だ。ここが悪くなるとすべてが駄目になる。どんな病気になってもおかしくない。
肝臓と腎臓が弱る様々な原因
肝腎が弱るのには様々な原因がある。
- 食べ過ぎ、飲み過ぎ
- 過渡の栄養摂取
- 運動不足
- 肥満
- 生活習慣病の放置
- 薬の服用
上げればキリはないが、主には運動不足と悪い食事が原因だろう。その中で体内毒素が溜まったままでいると、肝臓と腎臓が処理しきれなくなり、だんだん心身が駄目になっていく訳だ。
具体的な生活の7つの変化
では、僕がここまで回復するのに何をしてきたのか?を書いていく。
どれがどのくらい作用しているかはわからないけれど、それぞれ「これはこういう効果だろうな」という目線で読み進めて欲しい。
一日1〜2食で内臓を休ませる
肝臓を休ませるためにアルコールを飲まない日のことを「休肝日」と言ったりするが、肝臓は脂肪の分解もしている。だから、脂っこいものを食べないことは当然のこととして必要だが、肝臓を本当に休ませるなら、食べない時間を長く設けることが別に必要だ。
一日三食も食べていたら肝臓が休む時間はない。そこにアルコールが入れば、余計に肝臓に負担がかかる。大昔の人たちは一日二食が普通であったし、それで現代人の何倍も体を使って働いていた。だから、現在人は一日一食で良いと思っている。
僕の場合は今のところ一日1.5食で、夜しっかり食べる以外は、夕方に少しつまむだけだ。夜は玄米に天日塩と小豆を入れたものを主食とし、手作り味噌の味噌汁やぬか漬け沢庵、梅干し、納豆なんかを食べている。夕方に食べるのは、ミネラルたっぷりの塩を自分でまぶしたミックスナッツや干し芋。
これで十分。なぜかと言うと、消化酵素が少なくて済むからだ。後述するように無農薬のものばかり食べているし、脂っこいものを食べないから、消化が楽に行われる。更に腸内環境が整っているから、腸内細菌達が腸内で食べたものを分解して栄養価を高めてくれる。
無農薬の玄米菜食を中心にした
肝臓・腎臓が弱るのは主に体内毒素が原因だ。だから、まずは食事を変え、体に入ってくる毒素の量を減らすこと。そして、毒素の排泄を促すこと。僕は近所の自然食品店に毎週通い、玄米、調味料、、日本酒、その他の食材のほぼ全てを買い揃えている。
無農薬の食材は美味しいし、栄養価も高い。高いのは値段もだが、一日1.5食の自分にとっては財布の痛さを感じるものではない。僕は体に悪い動物食も控えるようにしているから、肉とは無縁で、余計に財布は痛くない。
自然食・無農薬食は毒素が少ないだけでなく、ミネラルが多く含まれている。ミネラルは体内毒素を排泄するために必要な栄養だから、無農薬の玄米菜食をしているだけで人の体は痩せやるし、太りにくくなる。つまり、脂肪を体内で処理している肝臓の負担を減らし、毒を処理する腎臓の負担を減らす。
一日1.5食を全く飢餓感がない状態で続けられているのは、おそらく栄養価の高い食材を口にしているからだ。ここまで時間もかかったが、少食の条件として必要なのは、まずは栄養。それは食べる量のことではない。消費する消化酵素が少なくて済み、その上で体に入ってくる栄養素のことだ。
お酒は毎晩日本酒一合まで
お酒は毎晩日本酒を飲むようにしている。これは好きだからというのもあるが、目的は「腸内細菌のエサ」を摂ること。純米酒や本みりん、酢、味噌や醤油などの植物性発酵食品は、腸内細菌達(特に善玉菌)たちのエサになる。
日本酒自体がアミノ酸やビタミンb群を多く含む栄養価の高いものだが、それが更に腸内細菌のエサとなることで、腸内細菌の活動が活発になり、それ以外の食べ物を口にした時の栄養価も高めてくれる訳だ。
飲むタイミングは夕食の前。今は煮干しをつまみにしているが、今食べているものが無くなったらミックスナッツに戻る。理想は桶(おけ)作りの純米酒に野菜の酢の物をつまみにすることらしい。酢が腸内細菌のエサになるし、アミノ酸や繊維質も摂ることが出来る。
栄養価からして、これが少食に役立っていることは間違いない。アルコールは体内の毒素を溶かしてくれるから、良いものをちゃんと選んで毎日少しずつ飲む分には体に良いと思う。ちなみに、「酒は百薬の長」という言葉があるが、この「酒」というのは日本酒のことだ。料理番組が教えてくれた。
お菓子は食べず、ジュースもたまにだけ
基本的にはお菓子は食べない。コーラは大好きだが、これもたまにしか飲まない。これは体に悪い白砂糖や異性化液糖と極力摂らないようにするためだ。そして、食事回数を減らすためでもある。
砂糖、特にミネラルが含まれていないものは、血糖値を急上昇、急低下させ、飢餓感のもとになる。更に消化酵素で体内のアミノ酸を大量消費し、血液を酸性に傾けるから、それを中和するためのミネラルも不足させる。中和する時の材料として骨からカルシウムを取り出し、骨を弱らせる。
お菓子をたまに買うとしても、煎餅、無農薬で牛乳を使っていないカカオ保有率の高いダークチョコレート、豆乳ドーナツ、デーツと呼ばれる甘い樹の実などを選んでいる。干し芋も良い。干し芋はおやつの様な味だが、栄養価的には立派なご飯だ。腹持ちが良く、便通も改善する。
自分では極力買わないようにしているが、アルバイト先でお店の人がお菓子とジュースを出してくれて、それはありがたく食べることにしている。多分それが無くなったらもっと調子が良くなる。まぁ、付き合いというのがあるから、健康生活も気楽にやることが大切だ。
筋トレしててもプロテインを飲まない
最近の研究では、筋トレの直後にプロテインを飲んでも筋肉のつき方はほとんど変わらないことが分かっている。実際には『プリズナートレーニング』という筋トレの本にプロテインは不要と書かれていたからそれを実践していたからなのだが。でも、これによる効能は確かにある。
プロテインで高濃度の偏った栄養を流し込むのは、身体にとって負担だ。それは消化器官だけでなく、肝臓や腎臓にも関係してくる。体内で余ったアミノ酸を処理するために腎臓が働かなければならないし、排泄には肝臓が関わってくる。
それに、筋トレにはオートファジーと言って、体細胞をキレイにする効果がある。オートファジーは空腹の時に起こるから、筋トレ後にプロテインを飲んでしまったら意味がない。
今は栄養量を調節するために、筋トレした後の三日間だけ、夕食後にプロテインを飲むようにしている。これで昼間の空腹感がかなり小さくなった。今はグラスフェッド・ホルモン剤不使用の牛乳が原料のホエイプロテインを飲んでいるが、動物食は血液が酸化するため、次はヘンププロテインを飲む。
お茶類を自分で淹れて飲む
お茶には様々な種類があるが、薬効成分の他にミネラルが豊富に含まれている。それらが肝臓と腎臓に効くだけでなく、毒素を排泄してくれるから、肝臓と腎臓が楽になる。
また、温かい飲み物(特に味噌汁、白湯、お茶)は腸内を綺麗にしてくるる作用がある。腸内に張り付いた宿便が排泄されれば、そこあった腐敗物が体内に入ってこなくなるし、消化吸収の質がより良くなる。つまり、腹持ちが良くなるということでもあり、食事回数を減らすのに一役買っている。
僕は良くお茶を1.5リットルほど煮出して、耐熱のガラス容器に入れて保存している。1リットルが保存容器・冷蔵庫行きで、後の残りはその日のうちに飲んでしまう。最近飲んでいるのは、スギナ茶、柿の葉茶、イチョウ葉茶、三年番茶。自然食品店以外でもネットショップで気軽に買うことが出来る。
緑茶もそれ自体はとてもいい飲み物なのだが、そこらに売っているものは栽培中に10回以上も農薬を散布していて、しかもそれを洗わずに加工している。だから、緑茶を飲む場合でも必ず「緑茶 無農薬」の様に検索をかけ、質の良いものを購入しなければならない。
冬でも裸(フンドシ一枚)で寝る
これは番外編だが、最近やってみて体に良いなと感じた習慣がある。それが「裸就寝」だ。
僕は就寝直前に服を脱ぎ、フンドシ一枚で布団に入る。といっても、布団の中(ベッドマットレス・シーツ・タオルケット・二枚合わせ毛布・羽毛布団)の温度が変わるわけではないので、寒い(というより冷たい)と感じるのは布団に入った時だけだ。
裸で寝ることで血流やリンパの流れが良くなり、むしろ体温は上がる。そして、朝目覚めた時は全身がポカポカしているから驚きだ。一日中服を着て身体を締め付けているのだから、夜寝るときぐらいは体を休めるために裸になったほうが良い。
リンパマッサージを知っている人は分かると思うが、血液やリンパの流れは僅かな摩擦や圧力にも影響を受ける。だから、本当に寝る時は締付けや摩擦のない状態を用意した方が良い。別に服を着ても構わないのだが、ゆったりとして柔らかい服を着た方が良いのは確かだ。
良い変化が楽しくてやめられない!
ここに書いていることをそのまま実践してくれる人は少ないと思う。最後の番外編は別としても、例えば一日1.5食に対して「食べるの好きだからやめられない」というなら、それは仕方がない。
しかし、生活の工夫をするのは楽しいもので、この成長・回復を感じながら過ごす日々は、実に観察のし甲斐がある。
とはいえ、僕も初めはアスリートとして健康に関心があっただけ。本格的に目覚めたのは病気を患ってからだ。だから、人が独りで改心するのには失敗が必要だとも思う。それ以外で美容健康に憧れや目的があれば出来るのだろうけど、良い出会いがなければ難しいだろう。
それでも、僕は健康生活をおすすめしたい。大病してから「死にたくない!」ではなくて、どんどん元気になっていく自分を感じながら、「もっと元気になりたい」という、+αの気持ちを大切にして欲しいと思う。その方が絶対楽しいし、天寿を全うできるから。
それでは、ありがとうございました。